登場人物

風組 一年 生徒会

聖坂葉月

地方の町から峰桜女学園に入学してきた一年生。 明るく素直で、誰にでも分け隔てなく接する。 人の役に立つことに喜びを感じ、困っている相手を放っておけない。 努力家だが要領は良くなく、学園の勉強や作法には苦戦している。 感情が表に出やすく、時に空回りすることもあるが、失敗しても立ち直りは早い。 芯が強く、何かを決めると真っすぐに進む頑固さを持つ。 人の言葉を信じやすく、少し天然なところもある。 まっすぐな優しさが、周囲の心を少しずつ変えていく。。

風組 一年 学園祭実行委員

八神乃亜

風組一年。 華やかで人目を引く存在。明るく軽やかな言葉で場の空気を掴み、 笑顔ひとつで周囲を照らす。 一見すると自由奔放で掴みどころがないが、内面は繊細で、他人の感情に敏感。 感情をまっすぐに表すあまり、誤解を招くこともある。 自分のスタイルや考え方を大切にしており、流されることを嫌う。 友情にも恋にも真っ直ぐで、思い立ったらすぐに行動に移すタイプ。 時折見せる静かな横顔には、 誰にも見せない思索の深さと、ほんとうの優しさが宿る。 その“強さと不器用さ”、どちらもが彼女を形づくっている。 春の日の出会いが、 彼女の中に眠っていた“素直に笑う勇気”を、静かに呼び覚ましていく。

風組 三年 セプテット 生徒会長

岩本綾瀬

生徒会に所属する上級生。穏やかで落ち着いた物腰を持ち、誰に対しても丁寧に接する。 周囲からの信頼が厚く、後輩にとっては憧れの存在。 責任感が強く、頼まれごとを断れない性分のため、いつも多くの仕事を抱えている。 自分よりも他人を優先しがちで、疲れを表に出さない。 完璧に見えるが、その内側には繊細さと孤独を抱えている。 誰かの支えになりたいと願いながらも、自分が支えられることには慣れていない。 静かな微笑みの裏に、確かな強さと優しさを秘めている。

月組 三年 セプテット 生徒会

神保玲子

学園の誰もが一目置く、静かなカリスマを持つ上級生。 勉強・スポーツ・芸術のすべてにおいて非の打ち所がなく、常に冷静で落ち着いた物腰を崩さない。 感情の起伏が少なく、何事にも自然体で臨むが、その内面には退屈と孤独を抱えている。 努力せずとも結果を出してしまうがゆえに、達成の喜びを実感できず、常に何かを探し続けているように見える。 完璧という名の檻の中で、ただ静かに日々をこなす少女

月組 三年 生徒会

小川真帆

月組三年。生徒会所属。 整った所作と凛とした眼差しで、学園の「品格」を体現する存在。 どんな場でも動じず、淡々と正論を口にするその姿は、 周囲から“理想の上級生”と称されている。 しかし、その冷静さの奥には、誰よりも強い責任感と、 人知れぬ孤独が静かに息づいている。 秩序を重んじるあまり、自らもまた秩序に縛られてきた人。 他人を導くことには慣れていても、 誰かに手を差し伸べられることには、まだ不器用なまま。 けれど、ある新入生との出会いが、 彼女の中で静かに何かを変えていく―― “正しさ”と“やさしさ”のあいだで揺れる、その心を解きほぐすように。

風組 一年 生徒会

有栖磨香津美

特待生として峰桜女学園に入学した、月組一年生。 誰よりも努力家で、誰よりも自分に厳しい。 完璧を目指すあまり、他人との距離を置き、孤独を選んできた。 その瞳の奥には、燃えるような意志と、誰にも見せない傷が共にある。 勝つこと、認められること――それだけが生きる証だった。 けれど、ある出会いが彼女の世界を少しずつ変えていく。 強さの意味を問い直しながら、彼女は初めて“誰かのために強くなりたい”と願う。

月組 二年

望月司

物静かで几帳面、ピアノを愛する月組二年生。 感情を表に出すことが少なく、いつも淡々と鍵盤に向かう。 その音には、言葉よりも正直な想いが宿っていると評されることもある。 だが本人は、それを誇りともせず、ただ淡々と日々を積み重ねているだけ。 誰のためでもなく、ただ音のために指を置く――その無垢な旋律は、やがて彼女自身の心を解き放つ。 静けさの奥に潜む優しい熱が、少しずつ世界を変えていく。

星組 二年

南裕理

世界のコートを駆ける、超高校級のテニスプレイヤー。 星組二年生だが、多忙な遠征生活のため、学園に姿を見せることは少ない。 明るく快活で、どんな相手ともすぐに打ち解ける。 その柔らかな笑顔の裏には、確かな観察眼と責任感がある。 何事にも真正面から向き合い、迷う友の背中を、ときに強引に、けれど温かく押してきた。 勝負の世界に身を置いてきた彼女の言葉は、不思議とまわりの心を動かす力を持つ。 司にとっては、静寂の世界に最初の風を運んだ人。 その息吹が、閉ざされた音を少しずつ変えていく。

月組 三年 セプテット

雪篠瑞紀

学園内でも一目置かれる、知性と品位を併せ持つ上級生。 穏やかな笑みと落ち着いた物腰で誰に対しても公平に接し、周囲からは“雪のように静かな人”と評されている。 勉学・芸術・礼儀、いずれも高い水準でこなしながらも、それを誇ることはない。 感情を表に出すことが少なく、何を考えているのか掴みにくいが、その沈黙には確かな思慮がある。 他者を導くというより、気づけば人がその背を追っている――そんな存在。

月組 二年 生徒会 オクテット

霧島渚

月組の二年生。 その軽やかな立ち居振る舞いと、誰に対しても分け隔てのない物腰から、生徒たちの間では「王子様」と呼ばれている。 あるいは、セプテットへの指名を辞退したという噂から、「セプテットに次ぐ“オクテット”」と囁く者も少なくない。 冗談を交えながらも要点を外さない会話術で、議論の空気をいつの間にか整えてしまう。 それでいて場の流れを読むのが巧みで、誰よりも早く人の心の温度を察知する。 その冷静さと柔らかさを併せ持つ姿勢が、不思議と周囲を惹きつける。 風のように自由で、どこか掴めない。 けれど、彼女が微笑むだけで場の緊張がほどけていく。 その存在感は静かで控えめなのに、確かに力強い。 月組の空気を最も軽やかに変える――密かな人気者。

風組 一年 バスケ部

入江蘭子

柔らかな声と穏やかな微笑で、場の空気をそっと和らげる少女。 誰に対しても分け隔てなく接し、静かに人を見守る姿が印象的だ。 感情を声高に語ることはないが、その沈黙の奥には、確かな思いやりと強さがある。 人の痛みに敏く、必要なときには一歩を踏み出す勇気も持っている。 けれどその優しさの根には、かつて胸の奥に刻まれた小さな傷があることを、彼女自身もまだ知らない。 穏やかさと決意が同居する眼差しは、 嵐のあとに差す光のように――静かに、けれど確かに、誰かの心を照らしていく。

風組 一年 クラス委員

東条千恵

学年トップの成績を誇る、才気とプライドの高い少女。 常に冷静で、他人の欠点を鋭く見抜く観察眼を持つが、口にする言葉はどこか棘を帯びている。 強い支配欲と誇りを持ち、人より上に立つことで自分の価値を確かめようとする傾向がある。 その完璧主義ゆえに他人を見下し、特に不器用な努力を続ける者には辛辣。 その態度から、クラスでは少し距離を置かれている。

風組 一年 洋裁部

市村文恵

いつも穏やかに微笑み、誰よりもゆっくりとした歩調で世界を見つめる少女。 誰かの言葉に答えを返すかわりに、ただ優しくうなずく。 その静かな仕草が、張りつめた空気をやわらげ、周囲を包み込んでいく。 おっとりして見えるが、他人の感情の揺らぎには敏感で、 誰かの小さな努力や変化を、誰よりも早く察している。 けれどそれを言葉にすることはない――そっと見守ることこそ、彼女の優しさだから。 文恵の微笑は飾りではない。 それは、痛みを知る者の静かな祈りのようなもの。 ゆっくりと流れる時間の中で、彼女は今日も、誰かの心の温度を保っている。

風組 一年 水泳部

錦織絵梨佳

春の光のように明るく、場の空気をやわらかく変えてしまう少女。 茶道の家に生まれながら、その型に縛られることなく、 自分の心地よい距離感で“美しさ”を扱う術を知っている。 言葉も仕草も軽やかで、少しおどけて見えるけれど、 その一言ひとつに不思議な温度がある。 誰かを緊張させず、誰かを遠ざけず、自然と人の輪を整えていく。 「型は心から外れてはいけません」 そう言われた教えを、彼女はそっと笑って受け流す。 完璧を求めるより、空気の流れを感じて動くほうが好きだから。 ──お茶席でも、日常でも。 絵梨佳の所作には、自由と品格がひとつに溶けていた。

寮母長

卯篠志保

峰桜女学園の寮母長。 穏やかな口調と静かな眼差しで、生徒たちを見守る存在。 叱るよりも、気づかせる。導くよりも、信じて待つ。 その姿勢が、誰よりも深く生徒たちの心に残っている。 若い頃は教職に就いていたが、ある出来事をきっかけに“育てる”より“支える”道を選んだ。 その選択を語ることはない。ただ、夜更けに灯る寮の明かりの中で、 ひとり心配して紅茶を淹れる姿が、彼女のすべてを物語っている。 厳しさも優しさも、声を荒らげることなく伝わる人。 生徒たちは彼女のことを、いつしか“寮母長”ではなく―― 「志保さん」と呼ぶようになっていた。

学園長

兵藤響華

峰桜女学園の学長。 厳しさと温かさを併せ持つ、静かな権威。 導くよりも見守ることを重んじ、言葉少なに生徒を信じ続ける。 迷う者を罰せず、考え抜く者を待つ姿勢は、多くの生徒に影響を与えてきた。 “セプテット”を陰で見守る存在であり、 学園という舞台を静かに支える最初の理解者。 春風のような眼差しで、新たな芽吹きを今日も見つめている。